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トラックに使うアドブルーとは? アドブルーの役割と補充の目安について解説

2023年12月12日

ディーゼルエンジンを搭載したトラックやバスが安全かつクリーンに走行するために欠かせないのが、アドブルーです。

今回の記事ではディーゼルエンジン車両に必要不可欠なアドブルーについて、消費量、補充のタイミング、補充にかかる費用などを詳しく解説します。

トラックに使うアドブルーとは? アドブルーの役割と補充の目安について解説

アドブルー(AdBlue®)とは?

アドブルーとは、トラックやバスなどのディーゼルエンジン車に採用されている『尿素SCRシステム』の還元剤として用いられている高品位尿素水です。

アドブルーという名称はドイツ自動車工業会(VDA)が2009年に登録商標したブランド名で、「ディーゼル排気液」やISOの規格名である「AUS 32」として販売されていることもあります。

『尿素SCRシステム』について

ディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりも燃費効率が高くパワーもあるため、昔からトラックやバスなどの大型車両に使われていますが、大気汚染物質である窒素酸化物を多く排出することが問題になっていました。
そのため、ディーゼルエンジン車両の排気ガス規制は、年々厳しくなっています。

そこで、ディーゼルエンジンでも排気ガスを抑えてクリーンに稼働できるように開発されたのが、有毒な排出ガスを浄化する『尿素SCRシステム』です。
現在では、ディーゼルエンジン車両の多くにこのシステムが採用されています。

アドブルーの役割

『尿素SCRシステム』では、排気ガスに含まれる窒素酸化物にアンモニアを加えて化学反応を起こし、無害な水と窒素に分解して排出します。
このプロセスのためにアンモニアが必要となりますが、アンモニアは可燃性のため車両には搭載できません。

一方、尿素水はアンモニア成分を含んでいるものの、無色・無害・非可燃性の安全性の高い液体です。
危険性の高いアンモニアの代わりに、安全に車載できる尿素水を含んだアドブルーが採用されているわけです。

アドブルーの消費量や補充について

ディーゼルエンジンの排ガスを浄化する『尿素SCRシステム』に欠かせない液体ですが、どのぐらいの頻度で補充する必要があるのでしょうか?
また、アドブルーがなくなってしまうと、どのような影響があるのでしょうか?

ここからは、アドブルーの消費量や、補充の目安、補充にかかる費用などについて説明します。

アドブルーの消費量の目安

アドブルーの消費量はエンジンサイズ・積載量・年式などによって異なりますが、一般的に軽油消費量の約5%が目安とされています。

軽油タンクの容量が300リットルのトラックが、満タンから空になるまで走行した場合、消費量は約15リットルとなる計算です。

アドブルーの補充のタイミングは走行距離で判断

アドブルーの補充は、タンクの容量と消費量から割り出された走行距離を基準に行われます。

補充距離の目安は小型トラック(2t)で約12,000〜28,000km、中型トラック(4t)で約26,000〜36,000km、大型トラック(10t)で約35,000〜55,000kmです。

補充目安の距離はエンジンオイルの交換サイクルとほぼ同じなので、エンジンオイルの交換時にアドブルーを補充することが多いです。

万が一、アドブルーがなくなってしまったら?

アドブルーの残量が少なくなると「残量不足」を知らせる警告ランプが点灯します。

仮に走行中に空になってしまっても、すぐにエンジンストップするわけではありませんが、アドブルーが切れた状態で走行を続けると有害な排気ガスが浄化されずに排出されることになるため、アドブルーが空の状態ではエンジンが始動できないよう制御されています。

残量不足の警告ランプがついたら、速やかに補充をしましょう。
アドブルーの補充は、ガソリンスタンドや整備工場などで簡単にできます。

アドブルーの補充にかかる費用

アドブルーの補充にかかる費用は、1リットルあたり約300〜500円です。
大型トラックのタンク容量は約40〜60リットルあるため、補充には約12,000円〜30,000円かかります。

まとめ

年々厳しくなる排出ガスに対する規制を受けて誕生した『尿素SCRシステム』を搭載した車両が、現在の物流業界では主流になっています。

アドブルーは、この『尿素SCRシステム』に欠かせない液体ですが、軽油同様、走行距離に応じてドンドン消費されるものであり、定期的な補充は欠かせません。

ディーゼルエンジン搭載のトラックやバスが、安全にクリーンに走行できるよう、アドブルーの補充は定期的に行いましょう。